ウェールズの最も奥深い地でジンを作るというアイデアは、どのようにして生まれたのですか?

私の兄のピートは、35年前に環境生物学を学ぶために、ダヴィー渓谷に引っ越して来ました。それ以来、彼はここで野生植物の採集を行い、25年間にわたって高地農業と養蜂を営んでいます。ピートはこの風景と、深く関わっているのです。私自身は、ワインと蒸留酒の業界の中で人生を過ごしてきましたが、私たちはお互いの技術を組み合わせたら面白いと考えました。私たちは二人とも、産地の味がするものを作りたいと考えていたので、ジンを作ることは必然の選択でした。

ダヴィー蒸留所に吊るされたエプロン
 ダニー・キャメロン氏, ダヴィー 蒸留所 ‐ジン製造
黒板に書かれたダヴィー・ジンの流れ図
ダヴィー 蒸留所

なぜダヴィー地域はそんなに特別なのでしょうか?

ここには驚くほどの様々な植物があり、汚染レベルは非常に低いのです。今やこの地域は、植物と動物の多様性や、人間と環境の相互作用を評価され、ユネスコによって世界生物圏保存地域として認定されています。ここは採集者の楽園です。

植物を採集するダニー・キャメロン氏
ダヴィー・ジンの創設者であるダニー・キャメロン氏が植物を採集している

どのような植物を使用していますか?

典型的なジンの植物の組み合わせがあるので、私たちはこれらを採取した成分と合わせています。ダヴィー・オリジナルは、私たちが作る中で最もジンらしいジンです。使用している10種類の植物のうち、3種類はここで採取したもので、ボグマートル(セイヨウヤチヤナギ)、針葉樹の先端、ハリエニシダの花です。ボグマートルとジュニパー(セイヨウネズ)には、飲料生産において千年以上の歴史があり、それらは非常に相性の良い風味を持っています。

新鮮なボグマートルとジュニパー
種を挽いている
ジュニパーとマートルの植物

ポリネーション(受粉)・ジンについてはどうですか?

ポリネーションは、植物学的にはさらに複雑です。29種類の植物を使用しており、そのうち20種類はここで採取したものです。
ポリネーションは、野生の花や緑の葉の成分の影響がより大きくなります。最近、ある訪問者が「これは野の花が咲く草原を歩いているようなジンだ」と言ってくれましたが、非常に素敵な表現だと思います。

 

“主な植物は、野生のクラブ・アップル(ヒメリンゴ)、ブラックベリー、ビルベリー(コケモモ)です。それが丸みと豊かさを与え、樽は深みのある風味をもたらします。”

ハイバネーション(熟成)・ジンについてはどうですか?

ハイバネーションは、樽で熟成させたジンです。これは100年物のホワイト・ポート樽で熟成された世界初のジンであり、私たちはその樽の特徴と植物が調和するよう開発をしました。主な植物は、野生のクラブ・アップル(ヒメリンゴ)、ブラックベリー、ビルベリー(コケモモ)です。それが丸みと豊かさを与え、樽は深みのある風味をもたらします。

散歩しながら「おお、メドウスイートがあるけど、どんな味がするんだろう?」と思うことはありますか?

実は、メドウスイート(セイヨウナツユキソウ)はポリネーション(受粉)において、非常に重要な植物の一つなのです。地元では「蜂蜜の花」を意味する「ブロダイル・メール(blodau’r mêl)」として知られ、本当に素晴らしいものです。メドウスイートは3,000年前からエール・ビールの風味付けに使われていたもので、ダヴィーでは広く採取されている植物です。何世代にもわたってここに住んでいる多くの人々が、それを集めて乾燥させ、お茶の抽出に使用しています。

包装紙に包まれるジン
植物を採集するダニー・キャメロン氏
フレーバーを説明するボード
ダヴィー蒸留所での生産

うまくいかない花や植物というのはあるのですか?

私たちが田舎の小道に沿って歩いていると、ハニーサックル(スイカズラ)の花が咲いていました。自然の場所で、それは非常に素晴らしい香りを放っていました。私たちは、それが私たちのジンの素晴らしい土台になるかもしれないと考えました。しかし、実際に少しだけ蒸留し、他の花の成分とブレンドしたところ、信じられないほど合いませんでした。私たちはハニーサックルを、最終的なパズルから取り除きました。それはどうしても合わないピースだったのです。

メドウスイートは3,000年前からエール・ビールの風味付けに使われていたもので、ダヴィーでは広く採取されている植物です。

ダヴィーのジンはどこで手に入りますか?

ビジター・センターに小さなショップがあり、ダヴィー蒸留所のウェブサイトでもオンライン販売しています。また、英国全土に約40の小売パートナーを持っています。その一方では、セルフリッジズやフォートナム&メイソンや非常に質の高い独立系のワインと蒸留酒の販売店があります。

なぜ、わざわざビジターセンターを設けているのですか?ジン作りの妨げになりませんか?

ビジター・センターは、私たちの活動において非常に重要な役割を果たしています。もちろん、私たちはずっとジン作りだけに集中することもできますが、お客様と直接対面する機会は、何にも代え難いものです。私たちは正式なツアーは行っていませんが、来訪者を温かく出迎えており、会話や試飲をすることもできるので、きっと誰しもが満足できるはずです。数日前、オーストラリアのブリスベンから男性が訪れました。彼はダヴィー蒸留所を訪れることを目的に、2年間かけて休暇の計画を立てたそうです。

地元でお気に入りの場所はどこですか?

地元の農産物やその産地を誇るものは何でも、私をとても幸せにしてくれます。この地域に来たら、カダー・イドリスに登り、ダヴィー・オスプレイ・プロジェクトを訪れ、カーディガン湾のイルカを見に行ってください。ここに住む人々から、ここの環境に至るまで、本当に美しい場所です。まさに楽園に限りなく近い場所です。

渓谷の眺め
ダヴィーの生物圏

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