2015年に、ウェールズは「未来世代のためのウェルビーイング法(the Well-being of Future Generations (Wales) Act)」という新しい法律を制定し、世界中の国々の関心を集めました。この法律は、私たちがあらゆることを行う際に、長期的かつ前向きな変化をもたらすよう、大きな成長機会を与えています。
この先駆的な法律で、設定された目標を達成する責任を負っているのが、デレク・ウォーカー氏です。デレク氏は、以前、英国最大の協同組合開発機関である「クンパス(Cwmpas)」のCEOを務めていました。2023年3月に、初代の未来世代コミッショナーを務めたソフィー・ハウ氏から、この役職を引き継ぎました。
変化をもたらす
50年後、100年後に生まれる人を想像してみてください。今日あなたのすることが、彼らの生活を悪くするのか、良くするのか?ウェールズでは、地方自治体、ウェールズ政府、医療機関、その他の公共サービスに従事する全員が、意思決定プロセスの一環として、この問いについて考える義務があります。
ウェールズは2015年に、未来の世代の権利を守るための法である「未来世代のためのウェルビーイング法」を制定した世界初の国となりました。
2代目コミッショナーとして、私は私たちがより良い生活を送り、住みやすい地球を残すために、公的機関が連携して長期的な意思決定を行う際に、最善を尽くしているかどうか、確認する役割を担っています。本質的に私の役割は、ウェールズの環境と私たちの子供や孫を守る法律の監視者とも言えるでしょう。
これはすでに、私たちに前向きな結果をもたらしています。この法律は、社会的処方などの予防的措置に焦点を当てた、10年計画の国家医療戦略を策定するのに貢献しました。社会的処方とは、人々の健康と幸福に影響を与える実際的、社会的、感情的なニーズを満たすために、人々を地域社会の活動やグループ、サービスにつなげることです。
また、学校におけるGCSE資格の改訂を推進し、子どもたちが早い段階から環境リテラシー(環境に関わる人間の資質や能力)について学ぶ際の、精神的健康や倫理的発展を強調する学校のカリキュラムの策定にも貢献しました。
私たちはまた、評価過程をGDPではなく、幸福度に基づいたものに変更しました。そのため、政府と公共機関は法律により、適切な雇用機会を提供し、低炭素社会を実現しなければなりません。新しい交通戦略もあり、ウェールズでのすべての移動の45%を公共交通機関、徒歩、または自転車に移行する計画があります。
私がコミッショナーの役割を引き継いだとき、私は「ウェールズが本当に変わったと感じられるようにする」という目標を掲げました。人々がウェールズを訪れた時に、新鮮な空気を感じて欲しいと思っています。訪問者に、人々と地球の幸福を最優先にしているこの国には、特別な何かがあると感じてもらいたいのです。
この法律が施行された後、スコットランド、アイルランド、そして日本の議会でも同様の法律を導入するための取り組みが行われました。また、国連事務総長は、ウェールズを「インスピレーション ‐ ひらめき」と呼び、未来世代のための特使への提案を支持しました。
ウェールズから世界へ「オーン・ブロ・イル・ビード(o’n bro i'r byd)」、この法律は、私たちに長期的で前向きな変化をもたらすよう、大きな成長機会を与えています。気候や自然の危機によるさらなる被害を避けるため、未来の世代が繁栄するためには、緊急かつ変革的な行動が必要です。ウェールズは、何が可能であるかを示すための完璧な場所だと私は信じています。
迅速な解決策の発見
未来世代コミッショナーとしての最初の年に、デレク氏は「カムリ・カン(Cymru Can)」という新しい戦略を立ち上げました。その目的は、ウェールズの政府機関全体における未来世代法の原則が実施される規模を拡大し、ペースを速めることです。
この新しいキャンペーンは、2023年から2030年の7年間にわたって実施され、この戦略でより広範な枠組みの5つの主要分野に焦点を当て、法律制定を確実なものとします。その5つには、人々の日常生活の改善、気候や自然危機への対応、健康悪化の予防に向けたさらなる取り組み、幸福経済の確立に努める、文化とウェールズ語の保護と強化、があります。
目標と実行のギャップを埋める
私自身を含め、多くの人々が、「未来世代のためのウェルビーイング法」と私たちの幸福の目標に誇りを持っています。しかし、現在も将来も、それらが人々の日常生活により多くの前向きな変化をもたらすために、そしてそれがより効果的に実施されるよう、私たちはさらに努力しなければなりません。
気候と自然の危機、不平等や貧困といった問題に対して、連携した長期的な解決策とともに、緊急かつ画期的な変化が必要ですが、私たちが必要とするペースと規模では進んでいません。その変化を支えるため、より良い方法を他の人たちと協力して見つけるのが私の仕事です。
私たちの7つの幸福の目標
「未来世代のためのウェルビーイング法」では、7つの明確な目標を定めています。そして、これらすべては関連していることで、ウェールズの公的機関はすべてを達成するために努力をする必要があります。
繁栄するウェールズ
回復力のあるウェールズ
より平等なウェールズ
より健康なウェールズ
結束力のある地域社会を持つウェールズ
活気ある文化と活気に満ちたウェールズ語が息づくウェールズ
世界に責任を持つウェールズ
詳細はこちらをご覧ください: futuregenerations.wales