私たちは1978年頃に、教師のグループとしてスタートました。妻のエイルリスは子どもたちにダンスを教えていて、男の子たちを参加させるのに苦労していました。そこで、他の教師の1人でカーディフのラグビーコーチでもあった人が、クリスマスコンサートのためにスタッフのダンスグループを作ろうと提案しました。男の子たちが男性がダンスをしているのを見て、それが決して恥ずかしいことではないと気づくという狙いでした。そして、それがうまくいきました!
皆がコンサートをとても楽しんだので、そのまま続けることにしました。これがダンスウィル・ナントガルゥの始まりです。
私はクロッグ・ダンス(木靴ダンス)の伝統があるバラ出身ですが、大学進学でカーディフに来るまで、クロッグ・ダンスを踊ったことはありませんでした。でも、子どもの頃から覚えているハウェル・ウッドさんという男性がいました。彼はジプシーの血を引いていて、バラ近郊の村で農夫として働いていました。彼と地元の農家であるカラドック・ピューさんがクロッグ・ダンスの伝統を途切れさせることなく守り続けていたのです。
Cliff Jones私はクロッグ・ダンスをしすぎて、膝が動かなくなってしまいました。今の仕事は、それを次の世代に伝えることです。ウェールズには『グラード ヘブ ヤイス、グラード ヘブ ゲネドル(gwlad heb iaith, gwlad heb genedl‐言葉がなければ、国はない)』という言葉があります。ダンスも同じです。もしダンスが無くなったら、ウェールズの一部が消えてしまうことになります。ダンスは、ウェールズの国を存続させるために不可欠なものなのです。クリフ・ジョーンズ
しかし、ウェールズのフォークダンスは、1904年の宗教的復興によってほとんどが途絶えました。伝統的なフォークダンスが戻ってきたのは、ウェールズ・フォークダンス協会が設立された1940年代になってからでした。
私たちが『ナントガルゥ』という名前を選んだのは、そこで練習しているからという理由だけでなく、キャサリン・マーガレッタ・トーマスさんにも由来しています。彼女は1880年に生まれ、この村で育ちました。彼女は、社交ダンスを終わらせた宗教的復興の前のダンスを覚えていました。彼女は、誰かがカーテンを閉めてドアに鍵をかけ、家の中でダンスをしていたことを思い出しました。そして、教会の執事たちが通り過ぎても見えないようにしていたのです。もしダンスをしているところを見つかったら、大変です。そのような身体的な楽しみは、どの様なものでも良くないとされていました。
彼女の娘であるケインウェン・トーマス博士は、母親が覚えていたダンスのステップを記録し、母親の思い出を雑誌に掲載しました。そのおかげで、ナントガルゥのダンスのコレクションが現在でも存在しているのです。
その1つは『ア・ガセグ・エイラ(Y Gaseg Eira‐雪の雌馬)』というハンカチダンスです。このダンスは、陶磁器工場で働いていた人々によってスタッフォードシャーからナントガルゥに持ち込まれたという説もあります。スタッフォードシャー地方のモリスダンスの1つと非常に似ているからです。

しかし、残りのダンスは『フェア・ダンス』と呼ばれるもので、特別な祭りの日に踊られていました。1つは、夏至を祝うために聖ヨハネの日の前夜に踊られました。そして、もう1つは、春の訪れを祝うためにイースターの頃に踊られた、小さな種のボールを使った豊穣を祝うダンスです。
確かに、とても異教的な響きがありますね。トングウィンライス(Tongwynlais)にもよく似た伝統がありました。そこでは、少年たちが種の詰まったボールを教会の壁越しに投げ、それを少女たちが反対側でキャッチしようとしていました。ボールをキャッチ出来れば、その年に結婚するという意味がありました。こうした伝統は、ダンスとも深く結びついています。
新しいダンスはどうなっているかって?正直言って、それは私の悩みの種です!ここ20年で、新しいダンスを作ることがブームになっています。彼らは、古いダンスのパターンをただつなぎ合わせて、新しいダンスと呼んでいるだけのように思えます。たいていの場合、踊るのがとても難しいのです。なぜなら、それらは昔から伝わる伝統的なダンスのように、あるパターンから別のパターンへと自然に流れるような動きになっていないからです。
私たちは『ダンスウィル・ブロ・ターヴ( Dawnswyr Bro Taf)』というジュニアグループも運営しています。毎週火曜日に約80人の子どもたちが集まり、伝統的な演劇や音楽、ダンスを教えています。実際、ブロ・ターヴのほうが ナントガルゥよりも勢いがあるくらいです。次々と新しい子どもたちが加わり、伝統を受け継いでいってくれています。私はクロッグ・ダンスをしすぎて、膝が動かなくなってしまいました。今の私の役目は、それを次の世代に伝えていくことなのです。
なぜ大切なのか?ウェールズには『グラード ヘブ ヤイス、グラード ヘブ ゲネドル(gwlad heb iaith, gwlad heb genedl‐言葉がなければ、国はない)』という言葉があります。ダンスも同じです。ウェールズ人であるために欠くことのできないものです。もしダンスが無くなったら、ウェールズの一部が消えてしまうことになります。ウェールズの国を存続させるために不可欠なものなのです。