クリスマスは、家族や食事、そしてもちろん、プレゼントの季節です。
世界中で、行儀の良い子たちにプレゼントを届ける役割を担う人物は、ファーザー・クリスマス、サンタクロース、あるいはズィエマスヴァートク・ヴェチーティス(ラトビアで呼ばれるように)など、さまざまな名前で知られています。
私たちウェールズ人には、白いひげと大きな袋を持った特別な存在の「ショーン・コーン」がいます。この名前は英語で「Chimney Pot John(チムニー・ポット・ジョン)」または「John Stack(ジョン・スタック)」という意味で、彼が煙突から家に入ることを表現した「コーン・シムネ (corn simne)‐ chimney stack:煙突」に由来しています。
ミスター・コーンは長い間存在しています。彼が初めて文学に登場したのは、1922年にジョン・グリン・デイヴィス(John Glyn Davies)が書いた詩集『ケルディ・ヒュー・ピュー(Cerddi Huw Puw)』だと考えられています。この詩集では、ショーン・コーンは煙突の中に快適な住居を構えた「善意のある幽霊」として描かれています。この本によれば、ショーン・コーンは、クリスマスにプレゼントを贈ることで、子どもたちが一年を通じて早寝をするよう仕向けているのです。
「ショーン・コーン(Siôn Corn)」という名前は、1931年に出版されたウェールズの子供向けの名著『リーヴ・マウル・ア・プラン(Llyfr Mawr y Plant)』の初版に登場したことでさらに広まりました。この本は、ウェールズ語で書かれた最初のクリスマス年鑑の本の1つです。その後、人気を博したこの年鑑には、ショーン・コーン自身のイラストも掲載されるようになりました。
ミスター・コーンの生い立ちは、通常は北極に住んでいるとされるサンタクロースとは異なり、煙突に住んでいるという点で独自性を持っています。しかしそれにもかかわらず、この人物像はサンタクロースの一般的なイメージと常に重なっていました。スウォンジー大学現代史教授であり、『クリスマスと英国人: 現代史 (Christmas and the British: A Modern History)』の著者であるマーティン・ジョーンズ教授は、こう説明しています。
「第二次世界大戦前は、ファーザー・クリスマスのさまざまな英語名が、通常はウェールズ語の名前で使われていました。」とマーティン教授は言います。「実際に、ある新聞記事では、英語名を使うことで、親がクリスマスの伝統を受け入れる妨げにならないようにするべきだ、と提起していました。」
しかし、1970年代までには、ウェールズ語の名前「ショーン・コーン」がウェールズのクリスマス文化にしっかりと定着し、トフィー作りや寒中水泳といった他の愛されるウェールズの冬の伝統と並ぶ存在になりました。
その結果、クリスマスシーズンにウェールズを訪れれば、人気のクリスマスマーケットの1つで、1922年の詩集に初めて登場した、クリスマスの贈り物を届ける謎の人物に関するオリジナルの曲を、合唱団が歌うのを聞くことができるかもしれません。この曲は子供たちに大人気で、彼らは「ポィスィン ドゥワ ドロス ア ブリン アン ディスタウ ディスタウ バッフ?(Pwy sy’n dwad dros y bryn yn ddistaw, ddistaw bach?:誰が丘を静かに越えてくるの?)」と歌い、その答えとして勢いよく「ショーン・コーン!」と叫びます。
そして、暗くなった後に煙突の上から奇妙な音が聞こえてきたら? さあ、すぐにベッドに入ったほうがいいですよ。