「ギターの音が聞こえたら、もうすぐそこだってわかるよ!」と、蛍光ベストを着た笑顔のスタッフが、太陽の下でプラスチックの椅子にもたれながら言いました。
草が生い茂る踏み分け道をさらに少し進むと、その光景が現れました。はためく旗や竹馬に乗ったパフォーマーたちが派手に群がる中に、縞模様の大きなテントの頂上が、まるで古代の石のピラミッドのように突き出しています。その下には、花柄の服をまとい、髪に花を巻きつけた熱狂的な参加者たちがあふれています。お決まりの、ギターをかき鳴らす音が漂い、金属が木をこするリズミカルな音や、社会や政治の変革についての興奮した会話が聞こえてきます。
これがグリーン・ギャザリング(Green Gathering)、斬新な環境運動フェスティバルです。40年の歴史の中で、小さな集まりからウェールズを拠点としたユニークなお祝いの場へと成長しました。このチェプストウ(Chepstow)を拠点とするイベントは、音楽、討論、工芸のワークショップ、そして楽しい雰囲気を週末の豪華イベントにまとめながら、物理的に可能な限りサステイナブルであることを何よりも重視しています。
最初の集まり
グリーン・ギャザリングは、常に英国の環境運動の中心にありました。1980年代初頭に、グラストンベリー・フェスティバルが開催される伝説的なワージー農場の名高いフィールドで、最初の集まりは誕生しました。環境意識の高い個人(英国の政治団体「グリーン党」の創設者を含む)が、利益よりも地球を優先するという(当時は過激とされた)政策を推進することを目的とした、非公式な会合でした。これらの親密なイベントはその後10年間続き、1994年にイングランドのスウィンドン近郊で最初の公式「ビッグ・グリーン・ギャザリング」を開催し、2000人以上の参加者を集めることに成功しました。
グリーン・ギャザリングは、音楽イベントであると同時に、参加型のワークショップのフェスティバルでもあり、イベント終了後も来場者に定着する習慣やアイデアを生み出すことを目的としています。
こうした小さな始まりから、グリーン・ギャザリングは人気を博し、イングランド南部のさまざまな場所を転々とした後、2011年にチェプストウのピアスフィールド・パーク(Piercefield Park)という現在の長期的な拠点に落ち着きました。フェスティバルのディレクターの一人であるスティーブ・マガリッジ氏は、フェスティバルが初期のイベントの精神を保持しており、環境への影響の少ない生活様式の利点を紹介し続けるとともに、再生可能エネルギー技術の先駆者にもなっていると信じています。これらの再生可能エネルギー技術の中には、他のテクノロジーよりも優れているものもあります。
「2003年に、フェスティバルがチェダー渓谷近くのメンディップ・ヒルズで開催されたときのことを覚えています。」とスティーブ氏は振り返ります。「フェスティバル会場への交通手段は、収集したチップ・ファット・オイル(使い終わった食用の揚げ油)を使った初期のバイオディーゼルで走る、古いロンドンの2階建てバスでした。」
にとって大いに楽しいものでしたが、バスは急な傾斜で苦労し、峡谷をフィッシュアンドチップスの独特の臭いで満たしました。」
持続可能性をリードする
幸運にも、このフェスティバルでの環境に対する多くの試みは実を結び、今日ではヨーロッパで最も環境に優しいフェスティバルの一つと称されています。イベントは、太陽と風からの再生可能エネルギーのみで運営されており、音楽ステージの照明からチームの無線機のバッテリーに至るまで、すべてがそのエネルギーで動いています。その結果、2018年と2019年には国際グリーナー・フェスティバル・アワード・フォー・パワーを受賞し、2017年、2018年、2019年には、イベントの持続可能性向上に取り組む非営利団体「ア・グリーナー・フェスティバル(A Greener Festival)」から「極めて優れている(Outstanding)」との評価を獲得しました。また、2023年の国際AGFアワードで、誰もが切望する国際グリーナー・フェスティバル賞を受賞しました。これは、このフェスティバルの理念と使命に対する大きな証となりました。
しかし、このフェスティバルの環境への配慮は発電だけにとどまらず、主催者たちは、再生可能エネルギーや低インパクトな代替手段を使用することで、何が達成できるかを人々に示すことを目指しています。
フェスティバルでの取り組みには、使い捨てプラスチックを削減するための来場者向けにお皿やカトラリー(ナイフ、フォーク、スプーン)の貸し出しサービスを含め、肉を使わずに地元でサステイナブルに生産され、かつフェスティバルで堆肥化できる食品を提供するなど、厳格なルールがあります。また、徒歩、自転車、公共交通機関でフェスティバルに来た人々への奨励や、フェスティバルを「持続可能」から「再生可能」に移行させることを最終的な目標とした、植樹計画もあります。これらのアイデアは、他の多くの取り組みと連携し、フェスティバルの二酸化炭素排出量をほぼゼロにまで削減するのに役立っています。
それでもなお、フェスティバルは常に改善を目指しており、もう一人のディレクターであるエム・エム・ウィアーディガン氏はこう説明します。
「私たちは、フェスティバル参加者の体験をより快適にしつつ、同時にイベントの持続可能性を向上させるための、目立たない方法で注意を払いたいと思っています。」とエム氏は説明します。「2022年の新しい取り組みは、まさにそのような二重の利益をもたらしました。私たちは『ムーン・ルーズ(moon loos)』を発明しました。これは、再利用可能な生理用ナプキンやムーンカップ(月経カップ)を洗うためのプライベートな設備を備えたトイレです。例えフェスティバルの会場であっても、生理中の人々が使い捨ての生理用品に含まれる全てのプラスチックを避けることができるようにするものです。」
期待できること
この前衛的なフェスティバル運営の手法は、フェスティバルの内容にも及んでいます。3つの親しめるステージ(むしろ壮大なガゼボと呼ぶ方がふさわしいでしょう)が設けられ、アコースティックなフォークの三人組から、サイケデリックなアシッド・ロック・バンドまで、信じられないほど多彩なミュージシャンの数々が出演します。そして時折、伝統的なアイルランドのケーリー(フォークダンス)もそれに加わり、楽しさを一層引き立てます。
しかし、音楽はグリーン・ギャザリングの内容の一部に過ぎません。フェスティバル会場では、人々が長弓を削ったり伝統的な鍛金の技術を学ぶ工芸エリアと、洪水への耐性から石油停止の必要性まで、さまざまな話題が徹底的に話し合われる議論用のテントもあり、どちらも同じくらいのスペースを占めています。
訪問者はまた、自給自足農業(permaculture ‐ パーマカルチャー)とガーデニング、マッサージとヒーリング、ブラジルのダンスとコミュニティのドラム演奏に特化したテントや屋台を見つけることもできます。さらに、ライブシアター、ラフターヨガ(笑いヨガ)のレッスン、ウクレレの演奏などのアクティビティはもちろんのこと、特に子供や若者を対象とした様々なアクティビティも用意されています。
スティーブ・マガリッジ氏が言うように、この毎年恒例の週末イベントは、「音楽イベントであると同時に、参加型のワークショップのフェスティバル」でもあります。会場では細心の注意を払い、テントを片付けた後も、来場者に定着する習慣やアイデアを生み出すことを目的としています。
「今までも、そしてこれからも、この体験が週末よりも長く人々に影響を与えることが目的です。」とスティーブ氏は言います。「定期的な人々からの評価では、長年にわたり多くの人々のライフスタイルを修正してきたことを示しています。」
色とりどりのテントや屋台のジャングルを自分の目で見るために、今すぐ今年のグリーン・ギャザリングのチケットを手に入れ、8月初旬にピアスフィールド・パークへ向かいましょう。ギターの音が聞こえたら、もうすぐそこです。
詳細情報
- グリーン・ギャザリング・フェスティバルのウェブサイト
- グリーン・ギャザリング・フェスティバルのInstagram
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